先日、当美術館を訪問されましたお客様が、ブログにその時のことを素敵な記事にされ紹介いただいので、ご本人様の承諾を頂いた上で、ここでも紹介させて頂きたいと思います。
粉川さんという、ギターを弾かれる方だそうです。
芸術に深い造形があり、そしてとても気さくな方です♪
原文はこちら↓
Somewhere along the way(粉川さんのブログ)
サハラ夢美術館
時々美術館に行きたくなる。
春に行った札幌の近代美術館は良かった。
展示もよかったし、学芸員の人と長話もできた。
今住んでいる都筑区に美術館はあるだろうか?と検索したことがある。
1軒だけあるようだった。
ホームページを見るとなんか変な宗教じゃないのか?という第一印象。
でもどうやら個人の人が自分の作品を展示しているらしい。
いつか行ってみよう。
と思ってから半年以上経っている。
昨日の日曜日は急ぎの仕事もなかったので、行ってみようと思った。
どうも駅は中川駅で降りるらしい。
家から2駅地下鉄に乗って、中川で降りた。
記憶で、こっちだろう?と思って歩き始めた。
最初から地図を確認してあるくのは好きじゃないから、
まあ、それで失敗することが多い。
歩き始めたのはいつも自転車で走っているあたりだ。
だいぶ歩いてから「どうもちがうなあ」と思いはじめ、
スマホの地図を見ることにした。
かなりちがう。
しかたないからわかりやすい早淵川まで出て川に沿って歩いた。
雨が降ってきた。
強くならないといいな、と思っているうちに激しくなってきた。
民家の庭の木立が雨をしのいでくれた。
しばらくすると弱くなってきたので、また歩き始めた。
だいぶあるいて、目的地に近くなった。
ちょっと坂を上ったところにその建物はあった。
ちょっと古風な円柱形の建物だった。
何か貼ってあって営業はしているようだった。
インターホンを押すように書いてあったので押した。
しばらくして女性がドアを開けてくれた。
500円を払って、地下の展示室に案内してくれた。
広い部屋の壁に沿って絵が展示されていた。
端から見て行った。
絵は精神世界を描いたような感じの絵だった。
自分としては好きなタイプの絵だった。
描かれている一つ一つ、背景に至るまですべてに意味があった。
また、模様に見える部分も全て何かを象徴していた。
もっと宗教がかった絵を予想していたけれど、全く違った。
いや、描かれている世界は宗教にのめりこんだ人が見ると
宗教的に見えるかもしれないけれど。
宗教がかった絵とは決定的に違うものがあった。
祈りが無い。
祈りが聴こえて来ない。
静かにその「場」だけがそこにあり、
それをただその場に居て見ている。
「アポカリプス」
と書くとどこかの宗教になってしまうけれど、
まあ、そういう感じだ。
たぶん私があまり時間をかけて見ていたので心配になったのかもしれない
沙原秀さんが階段を下りてきた。
絵についてそれぞれの絵を話しながら見た。
それから上の喫茶室に行って話をした。
沙原さんが画集を開いて説明してくれた。
それからの会話の展開は私が好きな内容だったので
2時間以上話をしてしまった。
途中ある絵を見ながら
「これは、あれ、あの人の絵…」というので私もすぐにわかった。
わかったけれど、名前が出てこない。
しばらくして私が思い出した。
「マグリット!」。
二人で大笑いした。
その手の話をするのは先日の札幌の近代美術館以来だった。
とても楽しい一日だった。
また来ることを約束してそこを後にした。
帰りは早淵川にそって家まで歩いて帰ることにした。
強い日差しだった。
日陰を選んで歩き、途中から都筑中央公園に入ることにした。
公園の森の中の階段を上っていると、雨が降り始めた。
すごく強い雨だった。
広葉樹が雨の傘になっているところを見つけて
しばらく一人でそこで過ごした。
美術館に居た間だけ空は青空だったのが不思議だ。
雨はなかなか止まなかった。
小枝を伝って雨が頭に落ちてくる。
冷たい。
この感じは子供の頃にもあったなと思い出した。
雨が弱まってきてそこから移動すると、別の木の下で
何人も同じように雨宿りしていた。
雨があがり皆三々五々移動しはじめた。
空を見ると真っ白な入道雲の下にいたことがわかった。
本当は違うけれど、あの美術館は公園の森の奥にあるような気がする。